第72章 忍界大戦5
情報部隊に移る日、レンは黄昏時にとぼとぼと河川近くを歩くナルトを見かけて声をかけた。
『な、何だってばよ!お前!どっから出てきた!?』
幽霊でも見たようなその驚き様に、レンはムスッと顔を顰めた。
『失礼なガキだな。上から飛び降りてきただけだろ。』
『う、上から!?お、オレに何の用だってばよ!?』
依然として警戒態勢のその子供を少し嫌そうに見てから、レンは一つため息をつく。
ー少し話したかっただけなんだけどな…。
レンは星が瞬き始めた空を見上げた。
この景色を見ることは、もうないのだろう。
そう思うと、何だか胸が少し痛んだ。
『…今日、私はこの里を出るんだ。』
レンはぽつりと呟いた。
『…え?』
戸惑いの声が下から聞こえてきて、レンはナルトを見た。
ーまぁ、こんなこと急に話されても困惑するよな…。
レンは少し苦く思いながらも、その子供を真っ直ぐに見た。
『その前に、お前に聞いてみたくてな。』
『何を…?』
レンは戸惑いの瞳で見上げる子供と視線を合わせる為にしゃがみ込んだ。
『お前は…、里の者を恨んでいるか?』
『うらむ?』
子供には難しい言葉だったか、と思い、レンは言葉を言い換える。
『殺したい、同じ目に遭わせてやりたい、殴りたい…。何でもいい。痛めつけてやりたいとは思わないのか?』