第72章 忍界大戦5
「それ何だ?」
鶴丸は初めて見るそれに興味を示す。
「式神って言うらしいですよ。邪気を発する場所を特定する時に使うんだそうです。」
私も初めてやるんですが、と言いながら、レンは式神にチャクラを流す。
「邪なモノの在処を探し出し、導け。」
レンがそう唱えると、式神はふるふると少し震えた後、意志を持ったように動き出す。
次いでレンの手から勢いよく上へ飛び出して、くるりくるりとレン達の周りを飛び回った。
「へぇ…。紙だよな、これ。」
薬研が面白そうに式神を目で追っている。
「そうですね。七海さんはこれを蝶に変えて使ってましたけど、私は姿を変えることは出来ませんでした。」
と、突然式神がぴたりと止まった。
レン達がその方向を見ると、向こう側からゆっくり人が歩いてくる。
近くまで来ると、その異常さがレンには分かった。
陣営の明かりを受けているので、全身から噴き出す靄がはっきりと見えた。
ただの靄じゃない。
濃く、闇い邪気だ。
「やぁ、君達はこんな所で何してるんだい?」
にこにこと人の良さそうな笑みを浮かべて、そいつは話しかけて来た。
見たところ、土隠れの忍のようだ。
中肉中背の平凡そうな男に見える。
「キミは…、誰だ?」
「あんたこそ、こんな所に来てどうしたんだ?」
鶴丸と薬研も異常が分かるらしい。
警戒も顕に、いつでも動き出させるように構えを取っている。
レンはそっと鶴丸の後ろに身を隠す。
男は鶴丸達を見て、困惑したような怯えたような様子を見せた。