第72章 忍界大戦5
「お前も助かったのか。」
「そっちも。よく無事に戻ったな。」
「サハを見なかったか?あんたの近くで見かけたんだが…。」
「いや、見ていない。あの化け物から逃げるので精一杯で、周りを見る余裕がなかった。」
「そうか…。」
「…もう少しだからな。もう少し頑張れば救護班の野営に連れて行ってもらえるからな。」
「俺は軽症だから大丈夫だ。こいつを診てくれ。」
「これは…。応急手当てじゃどうにもならない。救護班に回そう。」
あちらこちらで似たような会話が為されている。
シカマルの言った通り、皆が皆、混乱や困惑から立ち直る暇もなく、また、動ける者と動けぬ者が混在していて統制も儘ならない。
レンは見回る内に、陣営に邪気が満ち始めていることに気がつく。
陣営に人が増える度に邪気が濃くなっていくのだ。
「何か、可笑しくないか?」
薬研が怪訝な顔をして辺りを見回し始める。
「…さっきと比べて場の空気が濁ってると感じるのは俺だけか?」
鶴丸も居心地悪そうにそわそわしている。
やはり、自分の勘違いではなかった、とレンは思う。
「いや、私もそう思います。人が増える度に邪気が満ちているように思います。」
レンはクナイホルダーのサイドポケットを探ると、白い人形の紙を取り出した。