第72章 忍界大戦5
「…まぁ、2人とも少し落ち着きましょうか。」
レンは、再び鶴丸の後ろから姿を表し、2人を宥めるような格好で男に背を向けた。
「レン、何言ってるん…。」
言いかけたとき、鶴丸は自身の後ろから着物を少し引っ張られた。
「”仲間”なんですから、警戒する必要はありませんよ。」
「いや、でも…」
「そうだな。レンの言う通りだ。」
反論を言いかけた薬研を遮り、鶴丸がいい笑顔で彼を止める。
「鶴の旦那…?」
薬研が怪訝そうに彼を見上げた時、男が動いた。
男は迷いなくレンの背にクナイを突き刺す。
ボン!
煙が立ち、レンの姿は忽ち消える。
と、同時に鶴丸が動いた。
素早い動作で居合い斬りを放つ。
「……!」
だが、男も忍。
分身と分かるや否や、後ろに飛んでいたらしい。
擦りもせず、避けられてしまった。
いつの間に、と男は思う。
ならば女は何処だ、と探していると、背後から深々と氷の槍が自身の体を貫いた。
それと同時に男の姿が変わる。