第72章 忍界大戦5

「で、仕事って何するんですか？」

レンは、気を取り直してシカマルに尋ねた。

「陣営の見回りに行ってくれ。動ける奴と動けない奴の選別も儘ならなくてな。人手が足りねぇんだ。」

シカマルは、後ろ頭を掻きながら困ったように息をついた。

「分かりました。手は空いてるんで大丈夫です。報告は何処に行けばいいですか？」

「陣営の中央部に仮設テントを張ったから、そこに来てくれ。そこがこの陣の本部になる。」

「了解です。」

レンはシカマルに答えると、鶴丸達を振り返った。

「2人はどうしますか？まだ休んでていいですよ？」

気遣いのつもりだったが、逆効果だった。
2人はこれ見よがしに顔を顰めて立ち上がった。

「「俺も行く。」」

「…いいですけど…、何で怒るんですか？」

レンは困ったように頬を掻きながら、2人に尋ねる。

ー気を遣って怒られるとはこれ如何に…？

「…マジで言ってんのか、あんた。」

シカマルは唖然とレンを見る。

周りから見れば鶴丸達の反応は極自然なことだと理解できる。
何せ、始終レンを守るように側にいて気にかけているのだ。
それに先程まで穢土転生のいざこざがあったばかりで、彼等が心配しない筈がない。
何があっても側を離れるなんて選択はしないだろうと予想出来る。

「…レンはこういう奴なんだ。」

「鈍感というか、何というか…。」

鶴丸と薬研も若干呆れながら、揃ってため息をついた。

「あんたらも色々報われねぇな。」

シカマルは真顔で鶴丸の肩を叩いた。

「分かってくれるか…。」

鶴丸は少し涙を滲ませてシカマルの肩を叩き返す。
何やら2人は意気投合した様子。
薬研もうんうん、と頷き、同意する。

「…すっごい納得いかないんですけど。」

レンは一人理解出来ず、仏頂面を浮かべて腕を組んだ。