第70章 忍界大戦4
「…俺だって大事な先生をさっき送り返したばかりだ。」
そう言って、彼は俯いた。
「生きていてほしかったよ…。ずっと見守ってほしかった。ずっと先生でいてくれると思ってたのに、ある日突然殺されたんだ。目の前で。」
シカマルはギリっと歯噛みする。
「…何も出来なかった。なす術もなかった。知将の一族が聞いて呆れるぜ。」
シカマルは自嘲気味に笑う。
「俺がもっと強ければ…。俺が親父みたいに先の先を読めてたら…或いは助かったかもしれなかった…。」
その懺悔とも聞こえる後悔は、レンの心に強く響いた。
私がもっと強ければ。
試練のことももっと早く知っていれば。
何度繰り返した言葉だろう。
レンはのろのろと視線を上げた。
彼女を見るシカマルの目は薄らと赤くなっていた。
泣いたのだろうか、とレンはぼんやり思う。
「俺だって死んでほしくなかったんだよ。けど、穢土転生として蘇った以上、敵として対峙した以上、あの世に送り返すしかねぇんだ。」
その言葉に、レンの頬に一筋の涙が伝った。
「それに…。それが先生の願いでもあった。先生は俺達教え子に倒されることを望んでいた。」
その言葉にレンは目をぎゅっと瞑る。
リヨクも同じだった。