第70章 忍界大戦4
「あんたは違うのかよ。」
レンは涙を堪えながら口を開く。
「…一緒だ。お前が送ってくれ、と…。」
絞り出した声はみっともないくらい震えていた。
「…なら…」
「でも殺したくなかったんだ!どんな形でも生きていてほしかった!」
「だから、みんな同じだっつってんだろ!俺だって殺したくなかった!生きていてほしかったんだよ!」
レンの叫びに釣られるようにシカマルも泣くように叫んだ。
「…俺達が今何の為に戦ってると思ってんだ?」
「…知らない。」
レンは俯いて自棄っぱちに答えた。
シカマルはそれに眉を顰める。
「勝ちたいから。ただそれだけの為に俺達がここに居ると思ってんのか?」
「…勝ちたいからだろ。戦争において勝利は正義だ。」
そうやって、忍の歴史は築き上げられてきた。
それは里の中でも同じだ。
「それだけじゃねえよ。死んだ奴らが守りたかったものを守る為だろうが!命張って守りたいものを守ってきた先人達の想いを継ぐ為に俺達は今戦争してんだ!」
シカマルの中にあるのは、先程戦ったばかりの猿飛アスマの姿だ。
里を、愛しい人を、生まれてくる子供を守りたいというアスマの想いを、シカマルは背負っている。
「あんたには無いのかよ。この人から継いだものが。」
シカマルは氷に閉ざされ眠っている少年を指さした。