第70章 忍界大戦4
レンはぼんやりと喧騒に耳を傾ける。
叫び声。
怒鳴り声。
地鳴りのような音。
水の音。
岩の音。
刃の音。
ーこのまま、こうしていたらリヨクと同じ所へ行けるだろうか…。
レンは凍らせたリヨクに寄りかかりながら、力なく四肢を投げ出していた。
ザッ、ザッ、ザッ…
足音と共にレンに影が差した。
「随分と腑抜けたな。」
頭上から声がかかった。
声から察するに、シカマルだろうとレンは予想する。
「自分の面倒は自分でみれますって啖呵切ってたのはどこのどいつだ?」
聞いていたのか、と彼女は頭の片隅で思う。
ーまぁ、どうでもいいか…。
シカマルは、ぼんやりしたまま宙を見ているレンの側にしゃがみ込む。
覇気を失い微動だにしない様は、さながら死人だ。
「…あんただけが苦しいと思うなよ?」
シカマルは眉を顰めて、唸るように言った。
その言葉に、レンはぴくりと反応する。
「みんな、それぞれ事情抱えながらもここにいるんだ。あんたと同じ根の奴だって居る。日向家だって因縁抱えてて、今し方それを果たしたばかりだ。」
だが、レンは微動だにしない。
そんなこと言われても、立てないものは立てない。
殺したくなかったんだ。
そうは思うが、それを言葉にするのも億劫だった。
シカマルはその様子にため息をつく。