第70章 忍界大戦4
もう、やるしかない。
状況は違えど、あの時と選択は同じだった。
「火遁、火炎玉!」
「氷遁、氷柱槍!」
2人同時に忍術を繰り出した。
リヨクもレンも互いの術を避け、次の術を出す。
「氷遁、氷千本!」
「火遁、火炎放射!」
レンは雨のように氷の千本を降らせ、リヨクは炎で術を避ける。
数本はリヨクに命中したが、擦り傷程度。
何の障害にもならない。
「水遁、水分身!」
レンは水の分身を3体出すと、素早く次の印を組む。
「氷遁、氷華縛!」
レンは地面に手を突き、リヨクを追いかけるように凍らせていく。
その間にも、水分身が足止めにかかる。
だが、分身ではリヨクの足止めにはならなかった。
次々と分身は切られ、原型を崩していく。
リヨクはその度にバシャン!と大量の水を被った。
だが、その水が氷華縛の助けとなる。
「……!」
水が氷を引き寄せるように、リヨクの体に少しずつ氷が付着し、それは痛みの感覚がないリヨクの動きを徐々に鈍らせていく。
パキパキパキパキ…
凄い速さで氷は広がり続けていた。
動きが儘ならない所為で、リヨクは氷に追いつかれる。
ピキピキピキ…
左足が捕まったのを皮切りに、氷は徐々に全身に広がっていく。
足、胴、手と凍り、首元にまで迫り上がった所で急に止まった。
レンが止めたのだ。