第70章 忍界大戦4
リヨクは一切手を抜かなかった。
得意の火遁で距離を取りつつ、体術で急所を狙い撃つ。
次々と繰り出される技に、鶴丸達は翻弄されているようだった。
2人相手でもリヨクは決して怯まない。
怒涛の応酬に、薬研が持たなかったらしい。
僅かな遅れが目立ってきていた。
リヨクはそれを見逃さない。
「火遁、火炎玉!」
薬研目掛けて、轟々と燃え盛る火の玉が連続して3つ放たれた。
1つ目は避けられた。
2つ目は刀で薙ぎ払った。
だが、3つ目は直撃だった。
「ぐぅ…!」
薬研は呻きながらよろめいた。
リヨクは動きの止まった薬研目掛けて走り出す。
だが、鶴丸は分身に翻弄されて、気づかない。
「薬研!」
レンは体が強張ったまま動けず、薬研を呼ぶことしか出来ない。
ドゴっ!!
鈍い音がやけに耳に響いた。
レンは、リヨクに蹴り飛ばされた薬研に必死で手を伸ばした。
「ぐっ…。」
間一髪抱き止めることは出来たが、レンも岩肌を転がるように吹き飛ばされる。
「たい、しょう…。大丈夫、か?」
薬研が苦しそうにレンの身を案じる様が、彼女には辛かった。
「…ごめん…。」
動けなかった自分が情けなくて、リヨクと戦わなければいけないことが悲しかった。
レンは一度ぎゅっと薬研を抱きしめると、徐に立ち上がる。