第69章 忍界大戦3
前戦に着くと、味方の陣の者は既に交戦中で、怒号や叫び声が飛び交っていた。
あちらこちらで砂埃が立ち上り、人影が見え隠れしている。
「始まっていたのか。」
「戦況はどうなってるんだ。」
鶴丸と薬研は前を見据えながら呟く。
3人は迷うことなく、砂埃に突っ込んだ。
緩やかな丘を上り切り眼下を見下ろすと、海辺は一面沢山の人で覆い尽くされていた。
「な、んだ…、ありゃ…。」
「こりゃあ…、驚いた…。」
薬研と鶴丸は、その光景に絶句する。
「これは苦戦しそうですね…。」
舞台は海辺。
果たして自分の氷がどこまで通用するのか。
特に目を引くのが、全身真っ白の裸同然の奴だった。
ソレは皆同じ顔で、胴体が食虫植物のようにガバリと開き、人を捉えている。
捉えられた者は軒並み倒れていてピクリとも動かなくなる。
極め付けが黒い靄だった。
白い体から絶えず噴き出し続けていて、側に寄れば間違いなく影響を受けるだろう濃さだと予測出来る。
そして、それは何も白い奴だけではない。
味方陣と交戦中の者は、程度の差はあれど、全員邪気と分かる靄を絶えず噴き出し続けている。
「…敵陣は、全員邪気を纏っています。捕まったら一貫の終わりと思ってください。」
前を見据えるレンをちらりと見てから鶴丸も眼下を見渡す。
「軒並みか?」
「はい、軒並みです。特にあの白い化け物が酷い。」
レンは指さしながら言う。
「だが、どうする?この混戦で後ろを取られるな、ってのは無理ないか?」
薬研は周りを見渡すと、後方から2体の白い化け物が迫ってきていた。
「話をしている暇もないな。」
薬研が刀をすらりと抜き構えると、鶴丸とレンも後方の化け物に気が付いた。
「とりあえず、海に入られると氷が使い物になりません。なるべく陸地に留まってください。」
「分かった。」
「了解。」
鶴丸と薬研は同時に答えて走り出す。