第67章 忍界大戦1
ボゥ…
火の灯る音と共に、目の前に松明を持った男が現れる。
全身黒い服に緑のベスト。
大部分が隠れた顔に、だるそうな目付き。
レンと同じ額当てに、人間には珍しい白髪の逆毛。
鶴丸と、薬研はすぐさま刀を抜いた。
だが、レンにはその人物に見覚えがあった。
「あなたは…。」
レンは愕然と呟く。
「…知ってるのか?」
鶴丸が警戒を含んだ声で問いかけると、彼女はそれを困惑した目でちらりと見てから前を向く。
「…はい。木の葉の人間ならば知らない人はいないと思います。
木の葉の誉、里随一の忍。はたけカカシ。」
「いや〜。そんなに褒められちゃうと照れちゃうね。」
まいったまいった、と後ろ頭を掻きながら、唯一出ている右目を細めた。
レンは目元を険しくさせて、カカシを見据える。
「…すみませんが、状況が飲み込めません。説明してもらってもいいですか?」
彼女はカカシに問いかけた。
カカシの後ろには2人の男女の若者がいて、足元に描かれた円形の術式に沿うように座っていた。
ぐるりと見回すと、同様にあと2人、レン達の後方に配置されている。
レンが警戒しながら見ていると、カカシが巻物を一つ突き出すように見せてきた。
そして、片手でそれをだらんと垂らして開く。
「君でしょ?ここの遺跡を調査したの。」
「……。」
それは、レンが調べた遺跡の調査書だった。