第66章 おわりのはじまり
「いくぞ!」
鶴丸が掛け声と共に駆け出した。
ガキン!という音と共にレンの刃と交じる。
ぐぐぐ…と押されてしまうと、レンはすかさず後ろへ飛んで力を逃す。
「でありゃあ!」
それを狙ったかのように、レンの後ろから薬研が飛びかかった。
「……!」
いいタイミングだな、と思いながら、レンは薬研の太刀筋を躱す。
先の動きを読んで逃げ道を探すも、どの一手を取っても追い詰められてしまうことが予想できる。
レンは印を組んだ。
「氷遁、氷千本!」
レンは鶴丸に向けて術を放つが、刀で叩き折られるか避けられるかで、悉く躱される。
だが、視界が漫ろになる隙に薬研の後ろを取りにかかる。
レンはクナイで薬研に攻撃を仕掛けるが、
「甘いぜ!」
ヒュン!
レンのクナイは虚しく空を切り、空振りとなってしまう。
「上から失礼!」
声がして、上後方を振り向くと、鶴丸が刀を振り上げている。
レンは慌てて体を反転してその場を凌ぐ。
ザク!
鶴丸の刀が地面にめり込んだ。
レンは2人の位置を把握できないまま、気配を頼りに距離を取る。
落ち着いたところで目視で探すも、姿を捉えられない。
「どこだ…?」
「ここだ!」
背後から声がして慌てて振り向くと、すぐそこまで鶴丸が迫っていた。
レンは急いで腕を氷で覆い、受け身を取る。
ガキン!
氷の屑がパラパラと散る。
「王手だぜ、た〜いしょ。」
声と同時に首元に短刀を当てられた。
「…参りました。」
レンの負けである。