第66章 おわりのはじまり
ある日の昼下がり。
レンは、今朝から気が漫ろになってしまい、仕事にならなかった。
体がぞわぞわとするような、感覚が違うような…。レンは、言い表せない何かにずっと包まれているような気がしてならなかった。
その為、見かねた近侍の小狐丸から散歩を勧められたのだ。
「お、レン!稽古に出るなんて久々じゃないか。」
稽古をしていた鶴丸が、レンに気づいて声をかける。
「はい。何か今日は落ち着かなくて…。みんな今日は真剣での勝負なんですか?」
戦装束に刀を構えた面々を見て、レンが誰とはなしに尋ねると、休憩に入った薬研が答えた。
「偶には本番に近い形での稽古もいいかと思ってな。」
「なら、今日は外でやってみませんか?私もクナイ持ってるんで。」
「外かぁ。それも何か新鮮でいいかもな。」
「ボク、ワクワクしてきたかも。」
レンの提案を受けて、打ち合っていた獅子王と乱は動きを止めた。
「…そうだな。悪くないかもな。」
「じゃあ、外行くか。」
鶴丸が答え、薬研が皆を促す。
「「行こう!!」」
獅子王と乱が元気よく駆け出した。