第65章 演練大会ーその後ー
「台車を借りてきましたよ。」
「ロープも借りてきた。」
江雪と小夜が何処からか戻ってきた。
小夜の手には、言う通りロープが握られている。
「何でロープ…?」
燭台切が不思議そうに尋ねると、
「俺が頼んだ。」
大倶利伽羅が平然と答え、小夜からロープを受け取った。
「か、伽羅ちゃん?何する気?」
燭台切はそれを見て、そろりと問いかける。
「決まってるだろう。あいつを縛る。」
「ま、待って待って。縛るの?一応怪我人だよ?」
「なら、このままあいつが起きてくるまで待っているのか?そんなことしても日が暮れるだけだ。政府の専属医に診せるんだろ。」
大倶利伽羅は言いながら燭台切を横目に見ると、真っ直ぐ寝ているレンに近づいていく。
「いや、あの、な、伽羅坊。縛るのは、ちょっと…。」
「き、気持ちは分かるけどさ…、ね?仮にも審神者を縛るのはどうかな…。」
加州は隣の薬研を肘でつつく。
だが薬研は、
「いいんじゃないか?」
賛成の意を示す。
「ちょっと!?」
「や、薬研君?」
加州は悲鳴を上げ、鶴丸は顔を引き攣らせた。
「このまま籠られても埒があかないし、強行手段に出た方が手っ取り早い。どうせ遅かれ早かれ揉めるんだ。だったら今一悶着あっても同じだろ。」
薬研は諦めたように落ち着き払った様子で軽く息を吐き出した。