第65章 演練大会ーその後ー
「レン、起きておいで。」
「ちゃんと医者に行こう。傷をしっかり診てもらおう。」
帰り支度を整えた加州と鶴丸は、レンを病院に連れて行くべく、彼女の身支度を手伝おうと布団を揺する。
「大将起きれそうか?」
「いや…。医者と聞いた途端に、布団を掴んで頑なに出ようとしないんだ。」
鶴丸は困ったように首を横に振る。
それを見て、薬研は呆れた顔になった。
「大将。我儘言ってる場合じゃないだろ?熱が出たんなら、自力で治すのは無理がある。分かってるだろ?」
薬研は布団の塊に向かって言うが、動きはない。
「…入院は嫌です…。」
ぼそりとくぐもったレンの言葉が聞こえてきて、3人は顔を見合わせてからため息をつく。
「レンちゃん起きた?」
燭台切が寝室に顔を覗かせて問うと、薬研達は一様に首を横に振る。
それを見た燭台切は思わず苦笑した。
「レンはまだ起きてこないのか。」
燭台切の後ろから、少し苛ついた声がかかり振り向くと、顔を顰めた大倶利伽羅がいた。
「ごめん、まだ起きてこないみたい。」
大倶利伽羅はそれを聞くと、ため息をつく。