第64章 演練大会ー2日目ー
ー…寒い…。
ふと目が覚めると、体は熱っているのに手足が妙に寒い。
「やっちゃったかな…。」
太腿の傷に触れると、いつもより熱い気がする。
とりあえず、寒さを何とかしたいと思い、隣の燭台切の布団に潜り込んだ。
「…んん…?」
燭台切は寝ぼけているかのような、くぐもった声を出す。
もぞもぞと丸くなっているものを確かめようと布団を少し捲ると、レンだった。
「レンちゃん…?」
声をかけると、彼女はバツが悪そうに燭台切を見上げてきた。
両目が揃っているのは初めて見るな、とレンは思う。
鶴丸と同じ金の瞳が眠そうにレンを見下ろしている。
「…すみません。寒くて…。」
燭台切はそれを聞くと、レンの額に手を当てた。
「…うん、少し高いね。」
傷のせいだろう、と燭台切はレンの太腿に手を乗せた。
やはり熱い。
「やっぱり病院に行くべきだったね。」
「…入院したくありません。」
拗ねるようなその声に、燭台切は微苦笑を浮かべる。
「分かってる。通院で済むように明日聞いてみよう。」
そう言ってレンの頭を撫でると、彼女をそっと抱き寄せた。
「…あったかい…。」
レンは、ぽそっと呟くと、すぐにすぅすぅと寝息を立てる。
子供のようなその仕草に、燭台切はくすりと笑った。
「世話が焼けるね、君は…。」
言葉とは裏腹に嬉しそうに呟くと、更にレンを抱え込んだ。