第64章 演練大会ー2日目ー
加州が発見されたのは、政府関係者のみが入れる、とある部屋の一室たったそうだ。
両手両足は固定され、猿轡をされていて、気を失っていたという。
「トイレから出ようとしたところで、後ろから急にバチバチ!ってやられて…。気がついたら政府の人に起こされてたんだ。」
「犯人は見ましたか?」
レンの問いに、加州は力なく首を横に振った。
「見てない。振り返ることも出来なかったから…。」
落ち込む加州の背を燭台切が摩る。
「場所が場所だけに、カメラもないだろうしな。」
「念の為、どこのトイレを使ったか教えてもらえますか?」
政府の男性が加州から聞き出しているのを、レンはなんとはなしに見る。
ー26番が怪しいと思うんだけどな…。
彼女は思いながらも、犯人の目的をつらつらと考える。
単に、足止めをしたかったのか。
それとも、人質に取りたかったのか。
はたまた、こちらの棄権を狙ったのか。
「何にせよ、無事で何よりだ。」
「あとはレンちゃんの手当をしなきゃね。」
鶴丸の言葉に燭台切は答える。
「え!?レン、他にも怪我してるの?」
「まぁな。集中攻撃に遭ってたから。」
鶴丸から聞いた加州は、途端に泣きそうな顔でレンに詰め寄る。
「嘘…。ごめん、やっぱり俺のせいで…」
「いいから。先に取り調べをきっちり受けてきてください。」
レンはげんなりしながら彼の言葉を遮り、政府の男性の側へと戻す。
「それ言うなら事情聴取じゃないか?」
薬研が苦笑しながら突っ込んだ。
「取り調べって言うと、俺が何か悪いことしたみたいじゃん…。」
加州は、頬を膨らませてレンを見る。
「何でもいいですよ。手当てしたいと思うなら最速で終わらせてください。」
レンの言い様に、仏頂面を浮かべて彼女を横目で見る。
だが、手当をしたいのも本当なので素直に従った。