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君に届くまで

第64章 演練大会ー2日目ー



案内されたのは、応接間のような部屋だった。
加州はレンを見ると走り寄る。

「レン!」

「怪我はありませんか?」

レンの問いかけに加州は首を横に振った。
次いで、彼はレンの頬の傷にそっと触れる。

「…ごめんね。結局危険な目に合わせちゃって…。」

加州は眉根を寄せて、悲しそうな瞳を向ける。
どうやらレンの事情は知っているらしい。政府に聞いたのだろうか。

「私が望んでやったことなんで、清光は悪くありません。」

「でも、俺が間抜けにも捕まんなければ、こんな目には…。」

益々落ち込む加州を見て、レンは小さくため息をつく。

「たら、れば、の話はやめましょう。不毛です。
結果良ければ全て良し、でいいじゃないですか。
私が死んだわけじゃあるまいし。」

「…縁起でもないこと言わないでよ。」

「なら、もう言いっこなしです。」

「…うん。」


「無事で何よりでしたね。」

江雪が微笑んで、加州の肩を叩いた。

「心配したぞ。」

「見つかって本当に良かったよ。」

鶴丸と燭台切は笑う。

「おかえり、加州。」

「おかえりなさい。」

薬研と小夜も微笑みながら加州を見上げている。

仲間達の笑顔に囲まれて、加州にも漸く笑顔が戻る。

「…うん。ただいま。」

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