第64章 演練大会ー2日目ー
「そっちの審神者が自ら出たんなら、今剣はお前が細工したんだろ!自作自演だ!」
鬼の首を取ったかのように、勝ち誇ったような顔で非難する審神者を、レンは忌々しげに見た。
「言いがかりも甚だしいですね。この子には”まだ”何もしていません。けれど、大和守安定の呪は解きましたよ。」
すると、審神者は驚いたように大和守を見た。
その仕草こそが自ら細工をしたと言っているようなものだ。
レンは呆れつつも、審判に向き直ると尚も言い募る。
「この場にいる全員の生体検査を求めます。今すぐに。
26番本丸の刀剣達は皆、異常です。」
「それこそ、演練中にあなたが呪をかけたのでは?」
半眼でレンを見遣る審判を、鶴丸は呆れ顔で見返した。
ここまで馬鹿だと、最早言葉すらない。
レンは、まだ言うか、と半ば苛つきながらも負けじと言い返す。
「どうやって全員にかけられるっていうんですか。そんな映像あるんですか?
貴女は審判ですよね?審判が見た目だけでいい加減な判定を下していいんですか?」
「なっ…!」
「それとも26番本丸を検査してはならない暗黙の了解でもあるんですか?」
「……!」
審判は、怒りで顔を赤くしながら怒鳴ろうと口を開いた時、
「そうだ!全員の生体検査をやれ!」
「こんな判定、納得できない!」
「政府は八百長してるのか!」
会場から不満の声が上がる。
その声はやがて全体に広がり、誰ともなく検査を求めるコールに変わる。
「「「け・ん・さ!!け・ん・さ!!」」」
それは、会場全体をも巻き込んだコールに変わった。
ダン!ダン!と足を踏み鳴らすような音まで混じっている。
審判は会場全体を見渡すと、大きくため息をつき、マイクを握る。
『…只今より、暫しの休憩に入ります。その間に26番、及び38番本丸の刀剣達全員の生体検査を行います。』
わあぁぁ!!!という歓声が会場から湧き上がった。