第15章 二日酔い
レンは体の不快で目が覚める。
頭が割れる…。吐き気がする…。
レンは、いつの間にか布団に寝かされていた。きっと燭台切だ。
お礼を言いに行かないと、と思うのに起き上がれない。
酷い二日酔いだ。未だかつて酒に呑まれたことなど記憶に無い。酒には自信があったのだが…。
外はいい天気だというのに朝日が目に染みる。これでは何もできないだろう。
「…大将。起きてるか?」
誰だろう、とレンは這いつくばって障子の側に行き、日陰からそっと開ける。
ひっ、という声と共に2つの影が見えた。
「…何でしょう?出来たら出直してほしいのですが…。」
レンは日陰から出ることなくお断りの返事をする。
「…酒くさいぞ。」
この声は薬研だろうか。
「昨日呑んでましたので…。ご覧の通り呑まれました…。」
そういって、しおしおと膝を抱える。
はぁ、と薬研は大きなため息をつくと、
「薬を持ってくる。」
といって去っていった。
「あ、あの!僕、お水持ってきます。」
もう一人は五虎退だったか。
彼は、バタバタと厨の方向へ走って行った。
レンもため息をつき、また這いつくばって布団に潜り込んだ。
レンは布団の上から体を軽く揺すられる感覚に目を開ける。どうやら寝ていたらしい。
「大将…。大将…。」
「お水、持ってきましたよ。」
レンは布団から顔を半分出し、声の主を確認する。
やはり、薬研と五虎退だった。
「…何でしょう。」
レンが仏頂面で答えると、薬研は困ったように笑い、
「二日酔いの薬、持ってきたぜ。」
そう言って薬をひらひらさせて見せた。
レンは驚きで真顔になり、目を瞬かせた。
「ありがとう、ございます。」