第64章 演練大会ー2日目ー

「なら、レン。キミが妥当だ。」

鶴丸からそう言われてレンは、きょとんとして目を瞬かせた。

「え？何で？」

「何でって…。キミは刀での攻撃が出来ないだろ？」

鶴丸が困り顔で返すと、レンは少し顔を顰めてぼそりと呟いた。

「ストレス発散出来ない…。」

「演練をストレス発散の場にするな！！」

鶴丸は思わず大声で突っ込んだ。
何を考えてるかと思いきや、碌なものじゃない、と鶴丸は思いながら、きりきりする胃の腑を押さえる。

それを見たレンは小さく舌打ちした後、渋々今剣を抱き上げて、彼の短刀を懐にしまい込む。

「…分かりましたよ。やります。」

ー…こいつ舌打ちしやがった。

鶴丸は、後で拳骨でもくれてやろう、と怒りを抑えつつ、今は見ないふりをする。

江雪はそんな2人を見ては、長いため息をついた。




彼等が上空を見上げると、動きがなかったせいか、カメラはいなくなっていた。

「…カメラがいないですね。薬研達に動きがあるってことでしょうか。」

「そういえば伽羅坊がいないぞ。」

鶴丸が、きょろきょろと辺りを見回すも、大倶利伽羅の姿はない。
レンはそれを見て、口を開いた。

「薬研達に付いてもらいました。人数に余裕があったので。」

「いつの間に…。まぁ、そうだな。その方がいい。」

抜かりないな、と鶴丸は思いながらも賛同する。

「とにかく薬研達を探しましょう。早いところケリをつけられるならつけたいです。」

「ええ。急ぎましょう。」

3人は人の気配を探して走り出した。