第64章 演練大会ー2日目ー
一方、バーチャルフィールドでは…。
「やはりこの人の刀も同じですね。」
レン達は、今剣の刀を確かめていた。
「どうする?」
鶴丸が聞く。
「この刀を政府に突き付けられないですかね?」
突きつけられれば、相手方全員の取り調べなり検査なりしてもらえるかもしれない。
正気に戻れば、加州のことも聞き出せるようになるかもしれない、とレンは考える。
「だが、どうやって?」
「演練を中断できるのが一番いいんですが。出来れば本人と刀をセットで突き付けたいところですね。」
レンは気を失っている今剣を見遣る。
「刀だけ突きつければ良いのでは?」
江雪が不思議そうに聞く。
「それだとリスクが大きいんですよ。」
「というと?」
「仮に刀だけ政府に突きつけて、体の方を向こうに戻した場合、もしも体から呪を抜かれてしまえば、証拠は残りませんよね?」
「そんなこと出来るんですか?」
江雪は首を傾げる。
本体である刀にかけてある呪を取り除くには、やはり刀から取り除かなければならないのではないだろうか。
「出来るかもしれないじゃないですか。」
現に魂縛りの呪は刀にかけなくても効果はある。
だったら体の方から解術出来る方法だってあるのではないか、とレンは考えたのだ。
「そうなったら返って俺達の心象が悪くなるな。」
レンの言葉を受けて、鶴丸は腕を組み難しい顔をする。
「だと思います。」
「となると、今剣も一緒に連れ歩かなければなりませんか…。」
江雪は眉を顰めた。
これでは確実に1人は手が塞がることになる。
「そうですね。リスキーですが、それが一番確実でしょうね。」