第64章 演練大会ー2日目ー
七海の怒りを察した燭台切は申し訳なさそうに、肩を竦めた。
「ごめん、止められなくて…。」
『あなたのせいではないわ。本来あの子が自ら自制しなければならないのよ。
まったく、何考えてるのよ。』
七海は、帰ってきたら思い切り文句を言ってやろう、と思い直して気を鎮める。
ついでに痛み出した米神も解しておく。
「とにかく、僕一人じゃ探すに探せなくて。協力してほしいんだ。」
『分かったわ。私達の番はまだ先だから時間まで協力するわ。あの子が帰り次第、政府にも事情を話した方がいいわね。』
燭台切の頼みに一も二もなく頷くと、七海は今後の指示も出しておく。
「…信用、出来るのかな。」
政府、と聞いて、燭台切の中に不安が立ち込める。
煮湯を飲まされるのだけはもう御免だ。
『勿論、信用できる人に話すわ。それまで、やれることをやりましょう。今からA-3ゲートまで来れる?そこが一番落ち合いやすいわ』
「アリーナエリアの出入り口のことだよね?」
燭台切は、七海の指示を聞くと場所を頭に思い浮かべる。
確か、観覧席の出入り口の上には、それぞれ番号が書かれていた。
『そうよ。』
「分かった。今から行くよ。」
燭台切はそう言って電話を切る。
これで見つかればいいけど、と苦く思った。