第64章 演練大会ー2日目ー
鶴丸は突然姿を現したレンを見て、どきどきと早鐘を打つ心臓を抑えた。
江雪もそれは同じようで、彼もまた、何とも言えぬ面持ちで心臓の辺りを鷲掴んでいる。
敵だったら即刻急所を突かれていただろう。それ位、姿を見咎めることは出来なかった。
「キミは!どこから出て来たんだ!?」
「木陰からだ。」
レンはそう言ってすぐ近くの木を指差した。
「肝が冷えたわ!驚かすんじゃない!」
こんな驚きは要らないと、鶴丸は本気で思う。
「まぁ、落ち着いて。仕留められたんだから良しとしてくれ。」
のらりくらりと返すレンに、鶴丸は脱力するしかない。
レンは辺りを見回して、カメラの位置を確認する。
すると、小さくきらりと光る物体を見つけた。
レンは鶴丸と江雪に目配せする。
「ちょっと、寄り固まってくれ。」
レンの顔を見た2人は、何かをするつもりだと悟り、素直に彼女に近づいた。
レンはカメラに背を向けるようにして、大和守の側にしゃがむと、彼の手から刀を外した。
2人はレンに身を寄せて、彼女の手元を隠すように、膝に手を当て中腰でそれを見る。
「刀に何かあるのか?」
「分かりませんが、細工できるとしたらこれかな、と思って。」
レンは試しに柄を握ってチャクラを流してみる。
「ゔっ…。」
呻き声と共に大和守の刀から静電気のような電撃が放たれた。
「……!」
予想しなかった反応に、レンは思わず刀を取り落として、痛そうに手を振った。