第64章 演練大会ー2日目ー
「この…!ちょこまかと…!」
鶴丸は思うように捉えられないことに内心地団駄を踏む。
早いところ決着を付けなければ、いつレンに火の粉がかかるか分からない。
今剣はこちらの油断を突いて攻撃してくる為、片時も目を離せない。
レンは木陰に隠れながら今剣の様子を伺った。
彼は木陰に入ると、木の枝をあちらこちらで揺らして視線を誘導してる。そして隙をついては攻撃し、あとは追撃を避けながらまた木陰に戻ってしまう。
木渡りの上手な子だなと、場違いながらも少し感心する。
だがまぁ、攻撃パターンさえ分かってしまえば、あとはそれに合わせるだけだ。
ガサリ…、ガサリ…。
木の枝が揺れる。
右か…。それとも左か…。
左だ!飛び出してきた!
鶴丸は刀を振り切るも、今剣は空中でするりと身を翻し、難なく避ける。
ガキン!
江雪と刃が交わり、打撃にはならなかった。
今剣は再び木の上を目指す。
すると、彼の後ろから気配がした。
振り向くと、すぐ近くに加州が迫っていた。
「……!」
驚き、声を上げる暇もなく、背中に衝撃を受ける。
痛みに声を上げることも出来ずに、地面へと勢いよく叩き落とされた。
「がはっ…!」
二重の衝撃に思わず息を詰める。
今剣は気を保っていられずに、意識を失った。