第64章 演練大会ー2日目ー
まずは薬研と小夜で偵察に出てもらい、相手の出方を探る。
その間に、レン達は森に入り、一先ず身を隠す。
「向こうはどう出るかな。」
鶴丸は前方の平原を見据えながら呟く。
「卑怯な手を使うと言っていましたね。」
レンが答える。
「卑怯とはどのようなものなのか、想像がつきませんね。」
「一番考えられそうなのは、暗器の持ち込みですかね。」
江雪が言うと、レンは予想を立てる。
「暗器、ですか。貴方が持っているクナイのようなものですか?」
「はい。千本でも動きを鈍らせるには十分使えますし。」
「なんだっていい。蹴散らせば済む話だ。」
大倶利伽羅は全方位を気にしながら、素っ気なく言う。
「それはそうなんだがな。何か話していた方が今は落ち着くんだ。」
そう言って鶴丸は加州に化けたレンを見て苦笑する。
大倶利伽羅はそれを聞いて、レンをちらりと見てため息をついた。
彼とてその気持ちは分かる。
常とは違う状況に柄もなく緊張している自覚はある。
「…何ですか?」
何か言いたげな彼等を見回し、レンは顔を顰める。
「いいや、何でも。」
すぐ近くにいた鶴丸は困ったように笑いながら首を横に振る。
「…今さら戻る気ないですよ。」
「分かってるさ。言い出したら聞かないしな。」
「過保護ですよ。怪我なんて絶対にしませんから。」
レンは仏頂面で言う。
加州のあまりの違和感に再び微妙な空気が流れた。