第64章 演練大会ー2日目ー
時間ギリギリにフィールドゲートに駆け込むと、係員と思しき人達が焦った様子で手招きする。
「ギリギリでしたよ!」
「すみませんでした。以後気をつけます。」
係員のすぐ近くには、対戦相手の審神者と思しき男が立っていた。
「来ないかと思ったのにな。」
冷たい目で見る視線を受けて、レンは目元を険しくする。
その男は、昨日絡んできた男達の中心的人物だった。
男の言葉に刀剣達は苛つきを覚えたが、何も言わずにそれぞれ球体の中に入る。
「スペアを連れてきていたのか…。」
レンが球体の中に入る瞬間、小さく呟いた声が耳に届く。
ーやっぱり一枚噛んでるな。
問い詰めたい思いを押し隠し、彼女は何事もなかったかのように球体の中に入った。
中に入ると小さく色々な機械音が鳴り、すぐに視界から光が消えて暗闇に閉ざされる。
そして、いくらもしない内に、瞼の裏に光を感じ、目を開けた。
そこには広い平原が広がり、両脇には森が広がっていた。緩やかに風まで吹いている。
「想像以上だ…。」
レンはあまりのことに圧倒し、小さく呟くと、右隣に薬研が並んだ。
「初めて見ると驚くよな、これは。」
「そうですね。」
レンが答えながら後ろを振り返ると、皆揃っていた。無事に入れたようだ。
「さて、演練開始ですね。」