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君に届くまで

第64章 演練大会ー2日目ー



「レン〜!」

声が聞こえてレンが振り向くと、加州が手を振りながら観覧席の出入り口に立っている。
彼を先頭に全員足取り軽く、階段を降りてくる。

「見てた!?俺の活躍!」

加州は後ろからぎゅっとレンを抱きしめる。
レンの後ろが丁度空いたので5つ席を確保しておいたのだ。

「俺も決まってただろ?」

鶴丸も得意満面だ。

「見てましたよ。上々の成果ですね。」

レンが褒めると、彼等は嬉しそうに微笑んだ。

「次はどこと対戦なんですか?」

「26番だそうだ。」

薬研の答えにレンは少し顔を硬らせた。

「26番、ですか…。」

彼女は腕を組んで考え出す。

細工をする本丸だと言っていた。
細工とは何をどうするのだろう。
危害を加えられることを意味しているのだろうか。
それとも隠し武器か何かを携えているのだろうか。

対戦で当たるのならもっと聞いておくんだった、とレンは少し後悔する。

「どうしたんだ?」

突然黙り込んだレンを薬研が覗き込む。

「いや…。昨日コンビニ行った時に26番の本丸は細工をする所だって聞いたので。何をするつもりなんだろうと思い…。」

「え!?それわかってるなら通報すれば…」
「たぶん証拠がないんだと思います。あれば待ったなしで退場なんだろうし。後ろ盾も強力らしいです。」

加州の言葉を遮るように声を落として言うと、周りに目を配り、視線を集めていないか確かめる。
それを見た彼等も自然と声を落として、頭を寄せ合う。

「どこで誰が聞いてるか分からないので、矢鱈に声を上げない方が賢明です。」

「ごめん、そうだったね。」

加州が素直に謝ると、レンは一つ頷く。
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