第64章 演練大会ー2日目ー
会場となるアリーナエリアは圧倒するくらい大きい。観覧席は、演練を行うと思しき中央部を囲うようにずらりと並び、既に人で埋め尽くされている。
中央部には対角線上に相対するかのように、人が入れるくらいの水色の球体が6つ横一列に並んでいる。
「何ですか?あの丸い球。」
「あの中にそれぞれ入ると、仮想空間の戦場に飛ばされるんだ。」
レンが誰ともなく聞くと、隣にいた薬研が答えた。
「へぇ、凄いですね。」
「じゃ、俺達行ってくるよ。絶対勝ってくるから見ててね。」
加州がにこやかに笑いながら言い、6人はそのまま別の通路を通って降りて行った。
「どこかに座ろうか。」
燭台切が辺りを見回しながら言う。
「なるべく近い方がいいですね。」
レンも辺りを見回して空いている席を探すと、4列目辺りに手頃な席が3つ空いているのが見える。
「あそこが良さそうですよ。」
「ほんとだ。じゃあそこにしよう。」
ひと心地ついたところで、丁度開演のブザーが鳴り響く。
次いで、広い中央部にぱっと平原が現れた。
「…え?」
「ホログラムだね、きっと。」
レンが突然現れた平野に驚き固まっていると、燭台切はくすりと笑いを零しながら説明する。
「ほろぐらむ?」
「立体映像だと思ってくれればいいよ。」
「じゃあ、あれが仮想空間の戦場?」
「そうだよ。」
レンは言葉が出ず、唖然とした面持ちでもう一度中央部を見る。
そうこうしているうちに、鶴丸達が見えてきた。
豆粒のような小ささに、レンは思わず目を眇める。
「見えない…。」
「そうだね、僕も見えない…。」
レンが隣を向くと、燭台切も目を眇めて少し身を乗り出していた。