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君に届くまで

第63章 演練大会ー1日目ー



「戻ったよ。」

「ただいま…。」

「ただいま戻りました。」

燭台切、加州、レンの順に部屋の中へ入る。
レンは、そのまま冷蔵庫に直行すると、買ってきた物をしまう。
そのついでにお菓子も幾つか詰め込んだ。



「人間に絡まれた!?」

後ろから鶴丸の叫び声が聞こえてきた。
さっきのことか、と気に留めずにその場で、自分のお茶を飲み始めると、

「レンが喧嘩したのか!?」

真後ろから怒鳴るように問い詰められた。

「げほっ…!こほっ…!」

おかげでレンは噎せてしまう。

「いや、俺が悪いんだ。レンが国会に乗り込んだ事知られてて、馬鹿にされて…。それで、つい…。」

加州は、言いながら悔しそうに少し俯いた。

「私は、けほっ。ただ追い払っただけです。けほけほっ。」

レンは噎せたまま、鶴丸に言い募る。

「本当か…?」

「本当ですよ。急に後ろから大声出すの止めてください。」

鶴丸の疑わしい眼差しに、レンはジト目で返し文句を言う。
鶴丸はそれを聞き、これ見よがしにため息をついた。

「…何か?」

「今回はいいとしても、キミは絶対に外で喧嘩をするんじゃないぞ。」

その言い様にレンはムッとする。

「ひどい言い草だと抗議します。」

「キミが喧嘩したら屍の山になるだろ!?」

「それ、鶴さんでも同じことが言えますよね?」

「俺は加減できる!」

「嘘くさい。」

「なんだと!?」

「まぁまぁ…。でも本当にレンちゃんのおかげで事なきを得たんだよ。今回は褒めてあげて。」

平行線の言い合いに、燭台切が割って入った。

「次は俺も気をつけるよ。レンを危険に晒すことがないように。」

加州も苦笑しながら言った。

「…なら、いいが。あまり心配させないでくれな。」

鶴丸はレンの頭を撫でながら困ったように笑った。
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