第63章 演練大会ー1日目ー
「いってらっしゃいませ!」
すれ違いざま店員に声をかけられて軽く会釈する。
そのまま人の間を縫って真っ直ぐ飲み物コーナーへ向かうと、手早く目的のものを取り出して抱えた。
近くに籠が置かれていたので、その中に入れると、行列になっているレジ待ちの最後尾に並ぶ。
しかし、長い。
レンは待っている間、手持ち無沙汰にお菓子を物色することにした。
後方にも段々と人が並び始める。
「明日は誰が勝つかな。」
「26番の本丸は残るだろ。」
「あー、あそこね。でもきったねぇよな。いつも分からないように細工すんだもんな。」
「刀剣達だけだから見破れないと踏んでるんだろうさ。」
「審神者の俺達でさえ、よくよく見ないと分からないレベルだもんな。」
「いつかバレろ。そして退場になれ。」
「いや、ならないだろ。なんたって後ろ盾が強力だし。」
「財閥だもんな…。今、政府は資金繰りが厳しいって言うし。国会でのあれがなけりゃねぇ。」
「いやいや、あれがあったから風通しが良くなったんじゃん。」
「まぁな。それはそれで良かったよな。」
「けどまぁ、やっぱ世の中カネだよな。」
「権力の次はカネか…。世の中世知辛いねぇ。」
ははは、と後ろの彼等は笑う。
また面倒そうなのがいるんだな、とレンは会話を聞きながら思う。
その中でも先程の番号だけは覚えておこうと心に留めた。