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君に届くまで

第63章 演練大会ー1日目ー



「たっだいま〜。」

加州の声に、大倶利伽羅は読んでいた本から顔を上げた。


「…もう戻ったのか。」

随分と早いな、と思い、隣のソファーに腰掛けた燭台切に問いかけた。
彼は、この小一時間でかなり疲れたようで、ぐったりと背もたれに身を預けている。

「伽羅ちゃんは行かなくて正解だったね。すごい人混みだったよ。」

「はい、これ。お土産です。」

大倶利伽羅の前のテーブルに袋が置かれた。
中身はたこ焼きのようだ。
持ち主を視線で辿ると、たこ焼きやらポテトフライやらがぎっしり詰まった袋をいくつも下げているレンがいた。

「…買いすぎだろ。」

大倶利伽羅は思わず呟いた。

「半額だったんで、つい。」

「審神者は、屋台の売り物が半額になるそうだ!」

「色々あって面白かったね。」

鶴丸と加州も楽しそうに笑った。
彼等もレンに買ってもらったのだろう。2つ3つ袋を下げていた。

レンは空いているソファーに座ると、早速袋をガサゴソと漁り出し、りんご飴を舐め始める。

「…なんか、りんご飴とレンって違和感あるのは俺だけ?」

何となくその様子を見ていた加州はぼそっと呟き、

「いや、俺も激しくそう思う…。」

鶴丸が、うんうん、と頷く。

「こんなにカワイイが似合わないって、ある意味すごいよね。」

「だな。」

加州の言葉に薬研も頷き、彼等はしげしげとレンを見る。

「…君達、レンちゃんが聞いたら怒られるよ?」

そうは言いつつも、内心そう思ってしまう燭台切だった。

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