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君に届くまで

第63章 演練大会ー1日目ー



「まぁ、ともかく。誰が出る?」

気を取り直した薬研が切り出した。

「鶴と伽羅は確実だろ。」

太鼓鐘は頭の後ろで手を組みながら、少し嬉しそうに言う。

「頭ひとつ抜きん出てるもんな。」

厚も腕を組みながら唸る。
最近の2人の活躍は確かに目を瞠るものがある。

「薬研はいけるんじゃないか?」

獅子王が言う。
つい最近、稽古を共にしたばかりだ。

「最近強くなったもんね。」

「自分では実感がまだないがな。」

乱と薬研は、戦闘時の様子を思い出す。
兄弟の助けがあってこそ、だとは思うが、それを抜きにしても成長速度は目覚しい。

「加州はどうだ?主の特訓を受けてるだろ?」

山姥切が加州に水を向ける。

ここ最近、加州はレンから特別メニューとして、付きっきりの特訓を受けている。
簡単に言うと、レンの様に体内で神気を自在に扱う訓練と、山での体力増強が主な内容だ。
地味だが、やるとやらないとでは雲泥の差が出る。
現に、既にこのメニューを受けた大倶利伽羅と鶴丸は、頭ひとつ抜きん出るほどの実力差が出ている。

「うーん…、試してみないと何とも言えないけど。
前よりは動けると思う。」

まだ訓練途中ではあるが、大和守との軽い打ち合いでは、その成果を肌で感じられている。

「なら決まりだな。
あと2人か…。なら光坊はどうだ?」

「伊達組ばっかだねぇ。」

鶴丸が燭台切を見つつ言うと、次郎太刀が酒を呑みつつ、選抜メンバーを指折り数えた。
燭台切が入れば、6人中3人が伊達組となってしまう。

「…いっそ勝ち抜き戦でもやる?」

「今から!?」

乱は堂々巡りの予感に、それを回避しようと折衷案を出すが、大和守に仰天される。

「だよねぇ…。」

今からはさすがにくたびれるよね、と乱は思い直す。

この場を取り仕切るべき人物は、他人事のようにご飯を食べつつ彼等を眺めている。
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