第63章 演練大会ー1日目ー
とある日の執務室。
今日の近侍は歌仙。
彼は未処理書類のボックスを整理している途中で、手を止めた。
全員参加、と銘打ったその書類は見過ごせない。
「レン、演練大会エントリーの書類はどうするんだい?」
歌仙がレンに尋ねると、彼女は手元の書類から視線を上げる。
「演練大会?」
「ほら、これだよ。」
掲示板のように差し出された書類を見ると、1ヶ月程前に後回しにした案件だった。
「あ、忘れてた。いつまででしたっけ?」
聞かれた歌仙は、その書類を読み始める。
「…”下記の日程にて行います。その際には、下記の蘭に参加する刀剣男士の名前をご記入し、現地受付にてご提出をお願い致します。”
……え゛!?これ明後日になっているよ!?」
ーあー…。やってしまった…。
レンは思わず額に手を当てた。
だが、まだ今から決めれば間に合う、と思い直し開き直る。
「…ま、いっか。」
「良くないだろう!」
「って言っても、準備するものはありませんし…。今日の夜にでも選抜メンバーを決めますか。」
そう言うと、すっぱり傍に追いやり、残りの仕事を片付け始める。
「…きみって子は…。」
歌仙は脱力してしまった。