第62章 バーベキュー ーその2ー
やがて脱衣所の方から、歌仙の怒鳴り声が聞こえてくる。
『レン!きみはなんて格好をしてるんだ!』
『のぼせたんで今から出るところです。』
『今、鶴丸達が入って行っただろう!?ま、まさか、きみは肌を晒したのかい!?』
『いや、裸にはなってないですよ?これ巻いてましたし。』
『そういうことじゃない!きみは女の子だっていう自覚を持ちなさい!!襲われでもしたらどうするんだい!?ここは男所帯なんだよ!?』
『人間じゃあるまいし。大丈夫ですよ。』
歌仙の声にならない声が響く。
『とにかく、早く服を着るんだ!』
聞こえてきた会話にほとほと疲れてしまう。
彼等は思う。
俺達だって今や人間と然程変わらないからな、と…。
ただ、繊細な話題だけにレンにはどう説明したらいいのか分からない。
寧ろ察してくれ、とも思う。
「…何だか、すっかり酔いが覚めてしまったな。」
鶴丸が漸く衝撃から立ち直り、ちゃぽん…と湯に浸かる。
「俺、今日眠れないかも…。」
太鼓鐘の呟きに、彼等は揃って同意し、黙って湯に浸かった。