第62章 バーベキュー ーその2ー
ぱちゃん…
水を含んだ布が岩の上に落とされる音。
がさがさ…
衣擦れの音。
きゅっ…
タオルを縛る音。
見えない分、変な想像をしてしまいそうになり、体がぞわぞわと落ち着かない。
「もういいですよ。」
そうは言われても、今はレンの方を振り向けない。
「ちょっと通りますから道を開けてください。」
ぴちゃん、ぴちゃん、ぴちゃん…
歩く音がして鶴丸が振り返ると、レンが湯の上を歩いて通り過ぎる所だった。
その姿は先程と変わらないあられもない姿だった。ただ濡れたタオルを纏っているか、乾いたタオルを纏っているかの違いだけだ。
タオルで隠しきれない、白い手足が妙に艶めかしい。
当然だが、自身とは違うレンの体は、女性らしくほっそりと、だが要所要所に丸みを帯びている。
鶴丸が驚きに目を瞠っている隣では、燭台切と太鼓鐘も口を開けて唖然としている。
三日月達も呆然とし、目がレンに釘付けとなっている。
外風呂の入り口近くに立つと、レンは水浸しの大判タオルをぎゅっと絞る。そして、
「ごゆっくり…。」
覇気のない挨拶をして出て行った。
彼等は暫し固まったまま動けない。