第62章 バーベキュー ーその2ー
ちゃぽん…
レンは風呂に浸かって大きく息をついた。
本丸の大浴場は広い。
内風呂と外風呂があり、体を洗うスペースもかなり広く造られている。
外風呂は、岩を並べた露天風呂のように造られていて、半楕円形になっている。そして、真ん中には朱色と黄金色の雅な屋根が取り付けられている。
左側の一角は大きな岩が据えられていて、衝立のように入り口側が見えなくなっている為、まるで個室のようだった。
レンはそこに移動すると、体を思い切り伸ばした。
そのせいで、体に巻きつけた大判タオルが取れそうになり、レンはもう一度巻き直す。
そして、再びだらんと四肢を投げ出すと、滑らかな岩の上に頭を乗せた。
今日は久々に疲れたな、と思いながら振り返った。
加州と大和守の動きは悪くなかった。
薬研も悪くはなかったが、体力と脚力がまだ弱い。
小夜もいい太刀筋だったが、威力が足りなかった。
あとの面々はまだまだだな。鍛錬が足りない。
今日の狩りで少しでも何かを掴み取ってくれたなら儲けものだが、果たしてどうだったのだろうか。
今日狩りに出なかった面々も不安要素はまだまだある。
さて、どうやって鍛えたらいいものか。
レンはつらつらと考える。
視線の先では半月がぼんやりと浮かんでいた。
今夜は朧月のようだ。
神様の体でも、人間のように鍛えることが出来るのだろうか。
出来るとしたら一度レンの修行を試してみたいところだが。
『心臓はあるよ。たぶん内臓も人間と一緒。ほら。』
以前、大和守に触らせてもらった時に言っていた言葉を思い出す。
内臓が人間と一緒ならば、筋力やチャクラもそう変わらないのではないだろうか。
「やってみるか…?」
レンはぼんやりとそう思った。
しかし、眠い。
湯加減も気持ちよく、外気も冷たくて気持ちいい。このまま寝てしまいたいくらいだ。
ー少しだけ、寝ちゃおうか。
レンは下がってくる瞼に逆らえず、静かに目を閉じた。