第62章 バーベキュー ーその2ー
レンは厨で、配膳を仕切っていた。
食べ盛りのような彼等の食欲は止まるところを知らず、山盛りだった肉は半分以上なくなっている。
「主殿。おかわりを貰えますか?」
江雪はおかわりを貰いに現れる。
彼は結構な量を持って行ったはずなのだが…。
「…早いですね。もう食べ切ったんですか?」
「いいえ。焼いていく端から取られていくものですから。」
「…そうですか。」
焼く係になってはいないだろうか。
それでいいんですか、とレンは言いたくなったが、とりあえず放っておこうと、言われた通りに江雪の皿へおかわりを追加した。
そこへ、大和守と乱が駆け込んでくる。
「レン〜!おかわり頂戴!」
「鹿もっとある〜?」
「鹿はこっちです。これが牛、こっちが豚です。」
「今度は牛もらおうかな。」
乱は舌なめずりしながら取り分を装う。
その近くに、いつの間にやら大倶利伽羅が無言で自分の取り分を装っている。
この人は確か3杯目じゃなかったか…。
「伽羅、俺にもくれ!」
太鼓鐘がひょっこり現れた。
「自分でやれ。」
「つれない!」
大方、人が掃けたのを見計らい庭へ出ると、皆思い思いに肉を焼き、酒を酌み交わしている。
正にどんちゃん騒ぎだ。
ーまぁ、偶にはこんなのもいいかな。
レンは、楽しそうに笑う彼等を見つつ、自身もその輪の中へ混じっていった。