第62章 バーベキュー ーその2ー
「…誰だ、こんな無駄遣いしたの。」
レンは、側に置いてあった、がま口財布の中身を見ながら言う。
そこには、今朝方入れたばかりのお金がなくなっていて、小銭が僅かに入っているだけだ。
「「俺達だ!」」
どん!と胸を張って答える鶴丸と太鼓鐘。
「阿呆か、あんたらは!?いくらしたんだ、これ!」
「締めて4万とちょっとだ!」
「これでも頑張って値切ったんだぞ!」
2人は満面の笑みで得意気に答える。
レンは、その堂々たる態度に二の句が継げなかった。
「…折角少し貯金出来てたのに…。」
レンは崩れるように作業台に手をついた。
「まぁ、細かいことは気にするな!金ならまた稼いでくるさ!」
てしてし、と鶴丸はレンの背を叩く。
稼いでから言え!と言いたい気持ちも無くはなかったが、脱力感の方が上回った。
「買ってきてしまったのなら、もう仕方ない。僕達で美味しく調理するよ。」
「…お願いします…。」
歌仙がレンを宥めると、彼女は力なく返した。
それを見ていた薬研は、腕を組んで考える。
「なぁ…。これ余ったら冷凍できないか?」
「あぁ、そうだよ!多かったら冷凍保存すればいいんじゃない?レン、凍らせられるじゃん。」
薬研と乱の提案に、レンは立ち直り、ぽんっと手を打った。
「そうか。今は冷凍保存出来ますね。」
「今は?」
乱が首を傾げる。
「いや、旅生活が長くて。保存しておこうという考えが浮かびませんでした。」