第62章 バーベキュー ーその2ー
「乱、五虎退!どいて!」
レンの怒声に2人は瞬時にその場から離れた。
「水遁、水龍弾の術!」
唱えるや否や、川から龍が立ち登り、鹿目掛けて襲いかかる。勿論、鹿は為す術なく簡単に陸へと押し戻されてしまう。
あまりの威力に、彼等は呆然と、レンと鹿とを見るしかない。
「何やってるんだ!起き上がってくるぞ!」
レンの怒声に、彼等ははっと我に帰る。
よろよろと起き上がる鹿目掛けて加州、大和守、小夜が刀を突き出した。
「キュウゥゥゥ…。」
悲しい鳴き声を上げて、今度こそ鹿は横倒しに倒れる。
「お、終わった…?」
「よ、ね…?」
「うん…。そうみたい。」
大和守、加州、小夜は、鹿から怖々刀を抜く。
もう、ぴくりともしなかった。
「「「終わったぁ…。」」」
五虎退、乱、厚は互いを抱きしめるようにしながら、その場にへたり込む。
「出来た…。」
薬研も疲れ果て、尻餅をつくように座り込んだ。