第62章 バーベキュー ーその2ー
「見つけた…。」
乱は持っていた筒に付いている導火線に火をつけ、高く掲げた。
すると、シュウという音と共に黒煙がまっすぐ空へ登っていく。
崖から下を振り返ると、鹿はまだ気づいていない。
「みんな気づくかな…。」
暫く待っていると、頭上からとん、とん、と僅かに音が聞こえてきた。
「案外早く見つかりましたね。」
レンだった。
「他の人はまだ来てないんですか。」
「うん、レンが一番乗りだよ。」
乱がそう言うと、レンは木の上から降りてきた。
「狼煙はまだありますか?」
「どうだろう…。段々煙が弱くなってるかも。」
手元を見ると、火をつけたばかりの時のような勢いはもうないようだ。
「私が狼煙を上げておきます。乱はどうやって仕留めるか、考えておいてください。」
「え、教えてくれるんじゃないの?」
「まずは自分で考えることが肝要ですよ。考えられるパターンを何通りも考えることで、不測の事態にも対応しやすくなりますから。」
レンはまた木に登ると茂みに混じっていく。
シュウと音がして、木の頂から黒煙が登り始めた。
「どうやって仕留めるか、かぁ。」
乱は、草を食べつつ辺りを見回す鹿を眺めた。
「まだ鹿いる?」
「あ、いるねぇ。」
大和守と加州が合流する。
「乱が見つけたんだって?やるじゃん。」
厚がにかっと笑って言った。
「まぁね。それよりもどうやって仕留めたらいいと思う?」
「レンが教えてくれるんじゃないの?」
「まずは自分で考えること、だってさ。」