第62章 バーベキュー　ーその2ー

「遅くなりました。僕が最後ですか？」

最後に五虎退が合流する。

「はい。…さて、どうしますか？」

「どうしますかって、どうするの？」

「レンが教えてくれるって言ってたじゃん。」

加州と大和守が怪訝な顔を浮かべる。

「自分で作戦を考えることは大事なことですよ。」

レンがそう返すと、乱が口を開いた。

「ねぇ、ボク考えたんだけどさ。今、鹿がいるところから向こう側が沢になってるんだよね。そこまで追い詰めたら鹿は仕留められる？」

「そうですね…。川辺に罠がない限り逃げられるでしょうね。意外に足が丈夫で阿呆なところがあるんで、鹿は迷いなく川に飛び込むでしょうね。」

「…結構急流だよね…？」

大和守が少し顔を青くする。

「だから阿呆なんですって。思いもよらぬ行動しますよ、きっと。」

それを聞いて、彼等はうーん、と考え込んでしまう。

「そもそも罠ってどうやって作るんだ？」

薬研が尋ねる。

「麻のロープを持ってきたんで、丸太があれば可能です。」

レンが自身の大きめのポーチから取り出すと、加州が受け取った。

「…用意がいいね。」

「丸太とロープで何が出来るの？」

小夜が尋ねる。

「単純に、木に括り付けて目標が通る直前で上から落とす。ロープに引っかかったら丸太が飛んでくる仕掛け。とかですかね。」

「タイミングが合わせられないんじゃない？」

乱が考えながら言う。

「難しければ、足止め用に2個くらい落とし穴を作っておくと楽ですよ。」

「沢の反対側ってどうなってるんだ？」

「木や草が多くて走りにくいかもしれないです。僕、こっち側から来たんだけど、獣道って言っても差し支えないかも。」

薬研が問うと、そこを通ってきた五虎退が答えた。

「こっち側は平坦だけど、その分鹿も逃げやすいと思う。木も多いし。平地があったけどそこまで結構距離あるよ。」

厚も答え、薬研はそれらの情報を基に作戦を纏めていく。

「じゃ、やっぱり沢に追い込むか。あっち側から回ってあそこら辺に罠を張ろう。大将、準備頼めるか？」

「いいですよ。けど、手伝ってくださいね。」

「勿論だ。」

「よし、決まったな。始めるか。」