第62章 バーベキュー ーその2ー
「いやぁ〜、すまんな2人とも。」
所変わって、書斎部屋。
陸奥守は丁度部屋に残っていた燭台切と鶴丸を捕まえることが出来た。
事情を話すと2人は快く仕事を手伝ってくれることになったのだ。
「陸奥守は悪くはないさ。思いつきで行動するレンが悪い。」
「けど、まさか狩りをあの子達にやらせようとはね。」
鶴丸と燭台切は困ったように笑う。
「わしも驚いたぜよ。レンが鹿を獲ってきた件にも驚いたが。」
「俺も初めて聞いた時は驚いた。」
「一緒に聞いていた伽羅ちゃんも固まってたね。」
鶴丸はしみじみと言い、燭台切は小さく吹き出した。
「怪我せんとええがやけんどな。」
陸奥守は再び書類に目を向ける。
そういえば、この間初めて戦場での怪我人が出たな、と思い出す。
「そういえば、鶴丸はあの後怪我はどうなったが?」
練度ぎりぎりだったようで、一つの瓦解をきっかけに済し崩しに部隊が崩れて撤退したと聞いた。
「あ、あぁ。怪我は何ともない。ただ…。」
「ただ?」
「レンだ。血が怖いなんて知らなかったから酷く怖がらせてしまった。」
鶴丸は少し苦い顔をして俯いた。
「あの日から、レンはどうも俺達に無理はさせまいと簡単な任務しか請け負わなくなったように思うんだ。」
「同感だな。最近、レンは手緩い任務しか俺達に振ってこない。」
鶴丸に同意しながら大倶利伽羅が現れた。
「伽羅ちゃん。おかえり。任務は成功かい?」
「あぁ、あんな所で怪我なんぞ負うわけがない。」
大倶利伽羅は不満気にそう零して適当に座る。
折角の戦いの機会に思う存分刀を振るえないのが苛立たしいらしい。