第62章 バーベキュー ーその2ー
レンに手を引かれて、加州と大和守が現れた。
「…嫌そうだね。」
乱は厚にこそっと話しかける。
2人はレンと手を繋いでいるのに仏頂面だ。
「まぁ、嫌だろうな。俺だって嫌だし。」
狩りなんて出来る気がしない。
普通に肉を買ってきてバーベキューした方が断然楽しいに決まってる。
「集まりましたね。」
レンは、ざっと見回して人員を確認する。
新たに加わったのは五虎退と小夜だ。
「さて、準備しますか。」
「は、はい!」
「何をするの?」
手前にいた五虎退と小夜は興味津々の様子。
レンはウエストポーチから見慣れぬ札を取り出した。
「これを試そうかと。」
「何それ?」
加州はレンの後ろから覗き込む。
「これは今からみんなにかける呪です。」
「…え、やだ。何する気?」
大和守は呪と聞いてあからさまに嫌がった。
今までが今までだけに、いい思い出なんて一つもない。
「今からみんなの聴覚と体力を底上げします。その状態を保ったまま、森の中を駆け回ってもらいます。」
「えぇ〜…。」
大和守はげんなりとし、肩を落とす。
「何もそこまで嫌がらなくても。逆にこの呪をかけなければ体力持ちませんよ?」
「そうじゃないよ…。そこまでしてやらなきゃいけないのかってこと。」
加州も隣で半眼でレンを見遣る。
が、彼女は気にも止めず、
「そうですか。まぁ、そんなことよりやりましょう。横一列に並んでください。」
さっさと指示を出す。
お決まりのパターンにやれやれと彼等はのろのろと並び出した。
レンは印を組んで人数分の影分身を出す。
次いで、彼等の背に回り札を貼ると、手を当ててチャクラを流した。
「我、汝の力を引き出さん。」
すると、札は彼等の中に吸い込まれるように消えていく。