第62章 バーベキュー ーその2ー
「…そこまで嫌ですか。…残念ですね。」
レンはしんみりと言うと、少し目を伏せて言葉を切った。
「清光達は頼りになると思ったのですが…。まぁ、無理強いは出来ませんしね。」
「「え…。」」
何だろう、やけにあっさり引いた…?
「…他に当てはあるの?」
大和守がそろりと尋ねる。
狩りならば、俊敏さと索敵能力が求められる筈。
他に頼るならば、大倶利伽羅か。
けれど、大倶利伽羅はたぶん誘いには乗らない。馴れ合いはしないと公言している奴が、いくらレンからの誘いとは言え、狩りになんて行く訳がない。
「そうですね、鶴さん辺りにでも当たってみます。じゃ、…」
「「ちょっと待った!!」」
2人は勢いよく身を乗り出した。
思ってもいない名前がレンの口から飛び出したからだ。
確かに鶴丸ならば、太刀とはいえ戦力になり得る。何せうちの本丸随一だ。
しかも面白そうなことには進んで首を突っ込む性分ときた。
2人は、鶴丸とレンが楽しそうにしているところを、思わず思い浮かべてしまった。
「誰もやらないなんて言ってないよ?」
「そうそう。俺達だってやれば出来るし。」
鶴丸に美味しいところを持って行かれるくらいなら、泥でも何でも被ってやろうじゃないか。
2人はついつい負けん気を発揮してしまう。
「いやでも、嫌がってる人に無理はさせられませんし…。」
レンは口元に手を当て、少し困ったように目を伏せている。
「大丈夫。鶴丸に頼るくらいだったら僕達に頼って。」
「俺、偵察は得意だし。」
「じゃあ、遠慮なく。お願いします。」
それを聞いたレンは、途端ににっこり笑いかけた。
あ、と思った時には、もう後の祭り。
「「やられた…。」」
彼等は、漸く自分達が乗せられたことに気がついた。