第62章 バーベキュー ーその2ー
「お邪魔します。」
「あれ、レン珍しいね。どうしたの?」
レンの突然の来訪に、手前にいた大和守が快く招き入れた。
「単刀直入に言います。今から一緒に狩りに行きましょう。」
「うん、本当に単刀直入過ぎて訳が分からない。どういうことなの?」
加州が笑顔を凍らせたまま問い返した。
「実はさっき…」
レンはそう切り出して道場でのやり取りを話して聞かせる。
「…うん、あのね。普通、猟銃もないのに鹿を狩るなんて出来ないから。そんなこと出来るのレンくらいだから。」
大和守は額に手を当てた。
考えが突飛過ぎる。
「出来ますよ。コツが掴めればなんとかなるんです。」
「いや無理だって。だいたい、そんな慣れないことするなんて怪我のもとじゃん。それに泥だらけになるよ?」
加州は呆れ顔でレンを見返した。
骨折り損のくたびれもうけになるのが目に見えている。
「けど、薬研と厚、乱、五虎退は参加しますよ?」
「…僕達、打刀だよ?」
「索敵に強いと聞いたんですが。それに有名な剣士の愛刀だったのでしょう?」
「「ま、まぁね。」」
急に沖田のことを褒められて、嬉しさに若干頬が緩んでしまう。
「2人ならば戦力になると思ったんです。」
そこまで言われて断るのは男が廃る、なんて考えが一瞬2人の中に過ぎる。
「「う〜ん…。」」
2人は腕を組んで考え込んでしまった。