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君に届くまで

第62章 バーベキュー ーその2ー



レンは刀をまとめて置いておく。それから葛籠を持つと、休んでいる彼等の元へ戻った。

「体に異常はないですか?」

「大丈夫!傷はないよ。」

「ありがとな、大将!」

乱と厚が答え、休んでいた面々も顔を上げて微笑んだ。

「どういたしまして。」

レンは全員を見渡して無事を確認すると、踵を返した。

「では…」
「ねぇねぇ!いつかの時みたいにバーベキューしない!?」

乱は、さっさと帰ろうとするレンの服を引っ張り、引き止める。

「…何ですか?突然。」

レンは怪訝な顔を乱に向ける。

「お、いいな!俺、前に参加出来なかったからやりたい!」

「俺も右に同じ。」

厚と薬研は起き上がりながら、にっと笑う。

「…バーベキューなんて、出来るわけないじゃないですか。何人いると思ってるんですか。」

レンは少し眉を顰める。

「おんしら、バーベキューしたんやか?」

「うん、2年くらい前にね。」

興味津々の陸奥守に乱が答えた。

「あの時は少人数だったから、なんとかなったんですよ。それを全員分なんて無理です。」

本丸には現在、20人近い刀剣がいる。
それを賄うには、鹿を2頭狩ってきて足りるかどうか…。

「いやいや。何も鹿狩って来いなんて言わないって。あれは確かに美味しかったけど。」

「まぁ、美味かったな、確かに。」

乱と厚は頷く。

「いいよな、お前等は。俺も食いたかった。」

薬研が膝に肩肘をつきながら、少し皮肉気に言う。

「鹿肉なんて珍しいね。何処で売ってたんだい?」

歌仙は、鹿肉が珍しかったのか話に加わった。

「いや、売り物じゃなくて、レンが森で仕留めてきたの。こ〜んなでっかい雄鹿を。」

乱が少し呆れた表情を浮かべながら身振り手振りで大きさを伝える。
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