第61章 主の弱さ
「ちょっ…、あんた達大丈夫かい!?」
次郎太刀の声が響いた。
「大変ですね。すぐに主を呼んできましょう。」
「だったら、俺が行く!2人は手入れ部屋に怪我人を運んで。」
そう言って獅子王が走っていった。
「よし。動けない奴は誰だい?」
「伽羅坊だ。歌仙と小夜も気を失っている。」
「任せな。ほら、あんた。手を貸しな。」
差し伸べられた手を見て、俺は逡巡した。
何とか自分で歩いていきたい。
「ほら、伽羅坊。俺も傷を負ってるんだ。支えてもらえ。」
鶴丸はそう言って笑いながら俺を促す。
体が言うことを聞かない以上、そうするしかないだろうな…。
「何を迷ってるんだか知らないけど、人の厚意は素直に受け取っておくもんだよ。」
そう言って次郎太刀は問答無用で俺の手を取り軽々と抱き起した。
「お、おい…。」
焦る俺に構うことなく、軽々と担ぐとそのまま足早に運ばれていった。