第61章 主の弱さ
「後ろだ!あそこ!」
小夜の声に、弾かれるように振り向いた。
時間遡行軍だ。
それも今までの比じゃない数だ。
打刀と脇差を多く投入してきていた。
「…こりゃあ…。」
「…団体さんのお出まし、ってか?」
御手杵と鶴丸が苦く呟く。
俺は思わず舌打ちをした。
「数で押してきたな。」
三日月が敵を見据えながら言う。
「あぁ。しかも、打刀と脇差の連携は厄介だ。」
「けど、やるしかない。この行軍に手出しはさせない!」
俺の言葉に歌仙は答えると、逸早く駆け出した。
それに遅れをとるまいと皆で駆け出す。
「そこだね…!」
「首を差し出せ。」
「死ね。」
「遅い!遅い!」
「突く!」
「はいっ!」
この隊で人数を相手取るには一撃必殺で仕留めなければならない。
一瞬の気の緩みが勝敗を決する。
ちらりと見渡すと、初手は各自仕留めたようだ。
キン!ザシュっ…。
鋼の打ち合う音や肉を断つ音、時間遡行軍の断末魔が次々に響く。
ここから先へは一歩も通さない!